緑内障の悪化と発症を予防する食べ物
ここでは、緑内障の予防や改善について効果が期待できる食べ物を紹介しています。
視野に障害が出てしまったら二度ともとには戻らない緑内障ですが、その進行を食い止めたり、まだ発症していない方の眼が緑内障にならないように予防するには、食事から有効成分を摂取することも大切でしょう。ぜひ参考にしてください。
緑内障の悪化を防ぎ、発症を予防する食べ物とは
緑内障を引き起こす根本原因が解明されていない今、緑内障の悪化を食い止め、予防や改善を図るには、生活習慣を整えることから始めるべきでしょう。特に、食生活の改善は大きな効果があるのではと期待されています。
生活が欧米化するのに伴い、さまざまな生活習慣病が増えてきました。たとえば、脂肪の多い食生活により作られるドロドロ血が引き起こす血行不良は、緑内障にも大きな影響を与えているといわれています。
そこで、野菜によるビタミンの摂取や、抗酸化物質を含むさまざまな食品を摂ることが、緑内障の予防改善につながるのではないかと期待されているのです。
また、現代社会の大きな問題であるストレスも、緑内障の発症リスクを高めています。
ストレスが増えると肝臓が弱って免疫力が低下し、涙の中に汚れがたまりやすくなって、緑内障の大きな要因である隅角の詰まりを引き起こしやすくなります。
肝臓は、乱れた食生活やアルコールの過剰摂取でもダメージを受けやすい器官ですから、肝臓をいたわることができる食材を積極的に取り入れることは、緑内障の予防改善に役立つといえるでしょう。
そこで今回は、古くから目に良いといわれている食材などを3つの角度から取り上げ、それらの食材を使ったレシピをご紹介しています。ぜひ試してみてください。
目にいい成分が盛りだくさん「あわび」「サザエ」
昔からあわびやサザエは目に良いと言われてきました。もちろん話だけではなく、実際にミネラルが豊富であるという点で、東洋医学的に肝臓を強くして目に良い効果があるとされています。今でこそ、栄養学で考えてあわびやサザエが目に良いものであるとわかっていますが、昔はまだ詳しくは知られていませんでした。それでも目に良いと言われていたということは、昔の人々は本能で目に良い食べ物を知っていた、ということですね。
ただし、問題はあわびやサザエをどのように食べるか…です。普段の食事であわびやサザエを食べる、という人はほとんどいないと思います。正しく調理をして、意識的に食べるようにしましょう。
ミネラルの中でカリウムに注目してみると、1日当たりの目安量は成人男性で2500mg以上、成人女性で2000mg以上とされています。あわびの場合は1つあたり300mg、サザエの場合1つあたり45mg程度含まれている計算になるのですが、あわびやサザエを食べるだけではミネラルも十分とは言えません。もちろんミネラルにもたくさん種類があるので、その他のミネラルを摂取するという意味では非常に有効的なので、あわびやサザエでミネラルを摂取しつつも、不足する分はサプリメントで…という形が理想的です。
含有量 | あわび(150gあたり) | さざえ(18gあたり) |
---|---|---|
ナトリウム | 450mg | 43.2mg |
カリウム | 300mg | 45mg |
カルシウム | 30mg | 3.96mg |
マグネシウム | 81mg | 9.72mg |
鉄 | 2.25mg | 0.14mg |
亜鉛 | 1.05mg | 0.4mg |
ヨウ素 | 270μg | 17.46μg |
1食当たりの目安 | |
---|---|
ナトリウム | ~1,000mg |
カリウム | 833mg |
カルシウム | 221mg |
マグネシウム | 91.8mg |
鉄 | 3.49mg |
亜鉛 | 3mg |
ヨウ素 | 43.8μg |
ミネラルを中心として、あわび・サザエに含まれている成分をご紹介しました。1食あたりで目安とする量が下の表となっています。1食のうちほとんどをあわび・サザエで補えるミネラルもありますね。
ミネラルの不足は緑内障をはじめとして、様々な病気につながることもわかっています。
他のおのおのの栄養素と関連し,肝臓を中心として,肝臓病・脂肪肝・動脈硬化症・高lfω壬症・うつ病・緑内障などを誘引する大きな原因となることがわかった。
出典:個別に不足する栄養素を類推する「HQCチェックシステム」―認知症への前段疾病と自覚症状に関与する栄養素―_日本未病システム学会雑誌13(1):127-130,2007
https://www.jstage.jst.go.jp/article/mibyou1998/13/1/13_1_127/_pdf/-char/ja
ミネラルはしっかりと補うことこそが、緑内障をはじめとして様々な病気を招くことになるため、不足しないように補わなくてはいけません。
ルテインとビタミンが豊富な「ほうれん草」「かぼちゃ」
緑黄色野菜であるほうれん草とかぼちゃには、ビタミンが豊富に含まれています。また、もう1つ注目してほしい成分がルテインです。どちらにもルテインは含まれているのですが、1日の推奨量は6mgだとされています。ほうれん草だとサラダボウル5杯、とアメリカでは言われているので、ルテインが豊富であるかぼちゃやほうれん草だけで補うことは難しいかもしれません。かぼちゃはほうれん草よりもルテイン量は少ないです。とはいえ、ビタミンを摂取できる食材でもありますし、比較的普段から摂取しやすい食材です。食べやすい食材で補える栄養は、まず食事でしっかりと補給しましょう。
それでも不足してしまう場合はサプリメントで補えるといいですね。サプリメントと併用しながら、まずはかぼちゃとほうれん草を積極的に食べるよう心がけましょう。おいしく食べられるレシピもご紹介しています。
含有量 | ほうれん草(270gあたり) | かぼちゃ(263gあたり) |
---|---|---|
ルテイン | 15mg | 不明 |
ビタミンA | 945㎍ | 867.9㎍ |
ビタミンE | 5.67mg | 12.89mg |
ビタミンK | 729㎍ | 65.75㎍ |
ビタミンB1 | 0.3mg | 0.18mg |
ビタミンB2 | 0.54mg | 0.24mg |
ビタミンC | 94.5mg | 113.09mg |
1食当たりの目安 | |
---|---|
ルテイン | 2mg |
ビタミンA | 221㎍ |
ビタミンE | 2.2mg |
ビタミンK | 17㎍ |
ビタミンB1 | 0.32mg |
ビタミンB2 | 0.36mg |
ビタミンC | 33mg |
まずはルテインと緑内障の関係からご紹介します。
発症から1年後に左右眼ともに矯正視力が0.02になり,以後視機能は変化しなかった。20か月前からルテインサプリメントの内服を始めた。その2か月後から自覚症状が改善し,現在の矯正視力は右0.03,左0.4になった。中心暗点は縮小し,Humphrey視野計の10-2で中心暗点内に感度がよい領域が現れた。
出典:ルテインサプリメントにより中心暗点が縮小したLeber病の1例_特集第60回日本臨床眼科学会講演集(2)
http://medicalfinder.jp/doi/abs/10.11477/mf.1410101738
ルテインサプリメントを摂取することによって、変化が感じられることがわかっています。
続いてはビタミンについてです。
網膜,視神経の代謝におけるビタミンB1の重要性については,従来から認められているが,最近Bl並びにT.T.F.D.の高単位療法が行なわれるに至り,緑内障性陳旧性視神経萎縮による視機能の低下がこれにより改善される例が報告されている
出典:眼内圧上昇の眼組織ビタミンB1含有量に及ぼす影響についての実験的研究_京都大学学術情報リポジトリ紅
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/212228/1/yigar00362.pdf
緑内障に対するビタミンの働きとして、今回はB1だけをご紹介しましたが、そのほかにもビタミンはいい効果をもたらしてくれます。ビタミンは健康的な生活を送るためには欠かせない成分であるため、バランスよく補う必要があるでしょう。
アントシアニンが豊富な「ブルーベリー」「カシス」
アントシアニンは目に良いとして知られる栄養成分です。抗酸化物質の1つなのですが、網膜にある細胞の酸化を抑えるという非常に大事な役割があります。アントシアニンを豊富に含む食べ物として知られているのが、ブルーベリーやカシスです。食事で当たり前のように摂取する食べ物ではないかもしれませんが、目に良い食べ物として摂り入れてみましょう。
アントシアニンの目安となる摂取量は決まっていないのですが、100mgは最低でも摂取したほうがいいという話もあります。しかし、多くの人が100mg以下となっており、不足している可能性が高いです。ブルーベリーは100gあたりで400mg程度は摂取できますし、カシスも同様に多くアントシアニンを含みます。ただし、毎日ブルーベリーやカシスを…という生活を送っている人は少ないはず。なかなか毎日摂取するのは難しい食材でもありますよね。
レシピを参考にして毎日の食生活に摂りいれながら、サプリメントでも補って不足を解消させたいですね。
含有量 | ブルーベリー(100gあたり) | カシス(100mgあたり) |
---|---|---|
アントシアニン | 400mg | 600mg |
1食当たりの目安 | |
---|---|
アントシアニン | 30mg |
アントシアニンに得られる効果として、注目するべきなのが抗酸化作用ですね。
1968年にBastideらによって初めてアントシアニンの科学的研究が行われた1)。すなわち,ウサギヘアントシアニンを静脈注射し,網膜中のロドプシン量が増加することを見出した。
出典:アイケアサプリメントとしてのビルベリーエキス_オレオサイエンス 第9巻第7号(2009)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/oleoscience/9/7/9_283/_pdf/-char/ja
といった結果も出ており、網膜に対してアントシアニンが働きかけてくれることがわかっています。
アントシアニンの高い抗酸化作用は、あらゆるアンチエイジングに効果的。体の老化も緑内障の1つの原因であると考えられていますが、アントシアニンの抗酸化作用によって体の老化が防げれば、緑内障対策もできるでしょう。
ブルーベリーやカシスはとても高い割合でアントシアニンが配合されているため、普段口にする機会が少ない人もいるでしょうが、毎日取り入れたい食材ではないでしょうか。